【書評】『日本史上最高の英雄 大久保利通』:なぜ現代の日本に「嫌われる勇気を持った政治家」がいないのか?

現代の日本政治や行政に対して、こんな虚しさを覚えたことはないでしょうか。 「誰も傷つけない、効果も怪しいバラマキや事業ばかりが優先される」 「減税と言っていた政治家が、風向きが変わるとすぐ『給付金』に日和る」 「現場のプロの仕事よりも、上司

【現存しない言葉の謎】「〜ですわ」の山の手言葉はなぜ全日本人に伝わるのか?遊郭・明治維新からアニメ文化への華麗なる転生

「〜ですわ」「おーほほほ」「ごきげんよう」。 アニメやマンガ、VTuberの世界でおなじみの「お嬢様言葉」。 ですが、ふと冷静になって考えてみてください。 あなたの周りに、日常会話で「〜ですわ」と喋るお嬢様はいますか? 答えは(ほぼ100%

【歴史の雑学】日本人が知るべき「氏・姓・苗字」の決定的な違い——なぜ現代の「夫婦別姓論争」は噛み合わないのか?

日常で何気なく使っている「お名前(名字)」ですが、実は「氏(うじ)」「姓(かばね)」「苗字(みょうじ)」はまったく別の概念だったことをご存知でしょうか? 現代の私たちはこれらを一括りに「名字」「姓」と呼んでいますが、歴史をひもとくとそれぞれ

中国とどう付き合うか? 江戸時代以前の「非介入・不助・適度な距離」という先人の智恵

現代のネット空間や保守層の一部では、「中国や韓国からの害を絶つために断交すべきだ」という意見や、「中国がいくつもの国に分裂すれば安心だ」という分裂期待論を耳にすることがあります。 しかし、感情に任せた断交論や楽観的な分裂期待論は、歴史の実態

日本刀について

日本刀について③

 ~「日本刀 vs ロングソード」検証動画の大きな誤解~ 前回の「日本刀について②」の結びでも触れましたが、近年YouTubeなどの動画サイトで、欧米の愛好家たちが「日本刀とロングソード(西洋剣)はどちらが強いか?」といった比較・検証を行っ

【書評】短期的利潤追求を超えて「永続経営」を実現する視座――政治と経済をつなげて読み解く『DIMEの力』

書名:『なぜこれを知らないと日本の未来が見抜けないのか 政治と経済をつなげて読み解くDIMEの力』 著者: 江崎道朗 出版社: KADOKAWA(2023年刊行) はじめに:欧米型・短期思考の経営から「永続的な商い」へ 「四半期ごとの決算数

【歴史の常識を疑え】『サピエンス全史』の限界から見えてくる、古代日本「シラス」の真実

「ネアンデルタール人は野蛮で、ホモ・サピエンスが頭の良さで駆逐した」 「縄文人は弥生人に追いやられ、日本人のルーツは『縄文顔・弥生顔』の2つに分かれる」 「古代朝鮮半島南部にあったとされる『任那(加耶)』の存在は、現代の学説では触れないのが

【幼女戦記の超現実主義】「勝てば正義」の戦勝国史観が生む未来の不条理――国際法ハックと非人道行為にどう備えるか

アニメ『幼女戦記』第2期で描かれた「国際法の隙を突く宗教施設攻撃」と「損切りできない停戦議論」。 本作が提示する冷徹なリアルは、単なるフィクションの枠を超えて、「歴史上、勝利によって免罪されてきた権威主義国家が、今後の戦争でどのように行動す

『歴史から観る中国の正体』宮脇淳子著|僕たちが信じ込まされてきた「中国4000年」の罠と、日本人が知るべき解毒剤

「中国には4000年を超える連続した歴史と伝統がある」 「古代の中国人は徳にあふれ、洗練された文明人だった」 私たちが学校の授業や漢文、歴史ドラマなどを通してなんとなく抱いているこの「中国観」。もしこれが、日本人が都合良く美化し、そして近代

「似て非なる『武士道』と『騎士道』

「名誉を重んじる東西の戦士階級の美徳」として、よく比較される日本の武士道(Bushido)と西洋の騎士道(Chivalry)。 どちらも「弱者を助け、義を貫き、死を恐れない」といった高潔な精神として語られがちですが、その根底にある死生観や社

日本はポリコレの「最後の砦」:欧米の自壊(ハリウッド・EV)に巻き込まれないための新・多様性論

「欧米で流行したものは、遅れて日本にやってくる」 これまで多くの文化やトレンドがこのルートをたどってきました。現在、欧米のビジネスやエンタメ界を席巻している「DEI(多様性・公平性・包括性)」や「ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)」の波

【書評】『かわいそうな歴史の国の中国人』に学ぶ、「中国4000年」という日本人の致命的な誤解

「中国4000年の歴史」というフレーズ、誰もが一度は耳にしたことがありますよね。 なんとなく私たちは、「中国という一つの国が、4000年前からずっと途切れずに続いてきたのだろう」とイメージしてしまいがちです。しかし、東洋史・モンゴル史の専門

【幼女戦記の文明批評】海外版はなぜ『Tanya the Evil』なのか?タイトルとキャラクターに隠された「一神教OS」への強烈な皮肉

アニメやライトノベル、ファンタジーの皮を被りながら、その実態は極めて冷徹な国際政治・歴史ドキュメンタリーである傑作『幼女戦記』。 本作の主人公ターニャ・デグレチャフと、その宿敵であるメアリー・スーの対立、さらに全体主義の病理を凝縮したキャラ

【南北戦争の真実】「北軍の奴隷解放」という美しい欺瞞|日本人の視点で見抜く欧米レトリックの浅さ

現代の多くの人が信じ込んでいる「南北戦争は、正義の北軍が黒人奴隷を救うために戦った人道的な戦争である」というストーリー。しかし、歴史の冷徹な事実を紐解くと、この美しい物語がいかに都合よく作られた「後付けの欺瞞(大義名分)」であったかが浮き彫

大多数の日本人が誤解している「苗字」の歴史|江戸時代の庶民もみんな苗字を持っていた?

日本人が毎日使っている「名字(苗字)」。実は、現代の大多数の日本人が信じ込んでいる「明治になるまで一般庶民には苗字がなかった」というのは、歴史学的に完全な誤解であることをご存知でしょうか? さらに言えば、私たちが普段ごっちゃに使っている「氏

世界の史書と『日本書紀』の決定的な違い――「ウシハク」と「シラス」の歴史学

私たちが歴史を学ぶとき、そこには「一つの客観的な真実」が書かれていると思いがちです。しかし、特に古代の歴史書には、編纂した王権の「強烈な意図」が込められています。 なかでも、中国をはじめとする大陸の歴史書(正史)と、日本の『古事記』『日本書

【文明論】『転スラ』の魔国連邦はなぜ理想郷なのか?一神教OSの限界を打ち破る「日本OS」の可能性

SNSを中心に、日本を訪れた外国人が帰国後に強い喪失感を抱く「Japanned(日本に行って人生の基準が狂った)」という現象が話題を呼んでいます。 チップ不要の最高峰のサービス、定時運行の公共交通、驚異的な街の清潔さ、精度を極めた食文化。こ

【書評】「侵略か、自衛か」の二元論を打ち破る。地政学で読み解く『満洲事変 「侵略」論を超えて世界的視野から考える』

私たちが学校の歴史教育やメディアを通じて教わってきた「満洲事変」のイメージは、どのようなものでしょうか。「一部の好戦的な関東軍が暴走し、平和な中国を一方的に侵略して、破滅的な15年戦争への扉を開いた暗黒の歴史」——こうした、いわゆる東京裁判

日本の街や都市には城壁がない理由について

ヨーロッパのローテンブルク、中東のエルサレム、中国の長安(西安)など、海外の歴史的な都市は、街全体をぐるりと石やレンガの壁で囲む「城郭都市(城壁都市)」が一般的です。外敵からの住民虐殺や略奪を防ぐため、高い壁で防衛せざるを得なかったからです

「中国語」という名の誤解:漢字の裏にある「シナ諸語」の正体

日本人が日常的に使う「中国語」という言葉。しかし、私たちがこの言葉を使うとき、実はその実態を正確に理解できているのでしょうか? 現在、中国大陸で話されている言葉は、決して一つではありません。「普通話(マンダリン)」、北京官話、あるいは孔子や